11月17日(木) 15:00-16:00
「4K8K 大画面ビューイングの近未来」

映像配信高度化機構 事務局長の吉沢 章氏が進行役を務め、同機構の理事長で、慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科教授の中村 伊知哉氏と、三菱総合研究所 企業・経営部門副部門長の中村秀治氏が登壇し、 映像配信高度化機構の活動内容についてのセッションが開催された。

■8Kの決め手はB2B

 冒頭、吉沢氏から中村 伊知哉氏に、4K8K 大画面ビューイングの将来性について尋ねると、中村氏は次のように話した。

 「20 年にわたって地デジHDを普及する活動をしてきて、その後すぐに4K8Kと言われ、考えあぐねていたが、このところ、これはかなりくるなと考えている。私自身、デジタルサイネージコンソーシアムをやってきて、4Kサイネージが今やあたりまえになってきた。同時に最近、8Kのパブリックビューイングを何度も経験し、これは体験をすれば来ると確信している。4Kは順調に推移しているが、8Kの決め手はB2Bだと考えている」

 「パブリックビューイング、スマホファーストになろうとしている中で、その対極として、みんなで参加するパブリックビューイングもオリンピックに向け進んでいき、医療や学校、セキュリティでも8K が使われることが多くなるだろう。今、このような場で見えている世界より広い世界で使われると期待している」

■コンテンツの提供のしくみづくりが重要

 また、中村 秀治氏は同様の質問に対して次のように話した。

 「大画面ビューイングの業務系、デジタルサイネージ系は、一部で8K が入りつつある。画像制御など価格的にもリーズナブルになり、出回り始めている。あとは既存の機材からの切り替えのタイミング。家庭用はすでに50インチ以上はほぼ4K 対応。地方の家庭でも、敷地が広いこともあり、画面は相当大型化し4K 対応機器が入っている。

課題の1つはコンテンツが圧倒的に少ない点。もう一つの課題はネット対応。残念ながら市場にあるサイネージ画面もネットでコントロールされているものは限られている。4Kはブロードバンドでいける状態にもかかわらず、対応でシステムが整っていない」

■2020年に100カ所のパブリックビューイングを

 吉沢氏は「二つの課題を解決するためにつくられたのが、映像配信高度化機構だ」として、次のように述べた。

 「2年後、2018 年に4K8K が本放送になる。制作されるコンテンツは増えていく。そのコンテンツをいかに利活用してマネタイズして、さらにリッチにするしくみをつくりたい」(吉沢氏)として、今後の有望な用途として、部屋の装飾映像、セキュリティ、医療、教育、デジタルサイネージ、ホームシアター、パブリックビューイングなどを挙げた。また、立体音響も大画面の高精細映像を、よりリアルに感じるための重要な要素であると指摘。「2020年に4K8Kのパブリックビューイングを100カ所設置したい。これによって、一度に10万人、50万人が同じパフォーマンスを楽しめる時代になる」さらに「ミッションとしては、オリンピック後の有効活用も求められている」として、そのためには、4K8Kのコンテンツで価値のあるものをプラットフォームに入れ、ネット経由で上映するしくみをつくることが重要だと述べた。

■できるだけ多くの人に体験してもらいたい

 中村 秀治氏は、国内の多くの自治体、商業スペースにある多くの上映施設で4K8Kの導入が進んでいることを紹介。しかし、コンテンツ制作はコストがかかる点が課題で、上映コストもかかるので、なかなか進まないと指摘。制作環境も含め、リーズナブルにならないか。

 吉沢氏は、「公共・商業施設ともに、上映機材は年間で20万台が更新されており、およそ5年ですべて新しくなる。ここ1-2年で4K 販売に真剣に取り組んでいる。コンテンツも必要になり、配信のしくみが必要になる」と改めてコンテンツの重要性と配信のしくみの構築の必要性を強調した。

 中村 伊知哉氏は最後に「新時代到来のために肝要なものはやる気。関係者のみなさんは思った以上に(やる気が)ある。私も汗をかいていきたい。できるだけ多くの人に体験してもらいたい」と意気込みを示した。

「Inter BEE 2016 REVIEW」より転載

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